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「范蠡(はんれい)16条」を読んでの感想

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 中国春秋時代末期、越王勾践を助けて越を覇者にした大軍師、范蠡(はんれい)。



 詳しくは当ブログ【世界史英雄列伝(37) 春秋の大軍師 范蠡(はんれい)】

 http://blogs.yahoo.co.jp/houzankai2006/41524369.html

 をご覧頂くとして、彼が晩年山東省の陶の町で朱公と名乗り大富豪になったことはご存知でしょうか?




 私は5年ほど前、彼が残したと言われる16条の「到富の要諦」について書かれた本を買いました。あらためて今読み返しているのですが、この2500年前に書かれた内容を吟味しているうちに、商売の基本というものは厳然としてあるのに、現代でもその商売の道に外れた行為をしている愚か者達がいるんだなあと深く考えさせられているところなのです。

 
 范蠡は「商売をするにあたっては、客にも従業員にも信義を持ってあたれ」と言っています。残飯を出して客を欺いていた船場吉兆、外国産の肉を国産と偽って消費者を騙していたミートホープ、人材派遣会社と共謀して派遣社員を安く買い叩いている大企業などは、彼に言わせれば商売をする資格のない者たちなのです。

 商売で最も重視するものは信用ではないでしょうか?しかし悲しいかな現在の日本では、利益追求が当たり前で、そのためには人を騙しても平気、むしろ騙されるやつが悪いという風潮があります。

 范蠡は不当な利益を貪らず、かといって客を集めんがための安売りも決してしなかったそうです。適切な価格で高品質なものを売る、自分の利益は1割、これを貫いたからこそ信用を生み、戦乱の世で巨富を築いたのです。

 信賞必罰、リーダの心得、中間管理職の心得、読んでいて耳が痛くなるものばかりですが、ふと考えて
これは一種の兵法書ではないかと気付きました。

 商売の道であるばかりか、人生の道にも通じる16条、長年戦場にあって駆け引きしてきた范蠡の人生訓だったのかもしれません。

 内容はある意味当たり前のことばかりですが、人間は2500年たってもいっこうに進歩しないんだなと、だからこの16条が生きてくるんだと痛感させられました。