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書評 「アルキームの風Ⅰ」

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 先日、古本屋で『アルキームの風Ⅰ』(野村潔著 イカロス出版)という本を買いました。前々から気になっていた本なんですが、ようやく購入できました。

 アルキームの風はいわゆる架空戦史です。オーストラリア大陸西方のインド洋に浮かぶ日本よりちょっと大きい44万平方キロの島国アルキーム共和国が第2次世界大戦に枢軸側で参戦し活躍するという話ですが、なかなか面白い。
 
 ただ突っ込みどころも百は軽く超えます(苦笑)。まずユグノー戦争で負けたユグノーカルヴァン派)のアルキーム騎士団が亡命して建国したというのも???でした。カトリック側ならまだ分かる。ユグノーと騎士団にとても強い違和感を覚えました。15世紀ブルゴーニュ公国の金羊毛騎士団ですら時代遅れと揶揄されたのにフランスで17世紀に騎士団ができるのか?ワインのなんちゃら騎士団とは意味が違う。しかもフランスはテンプル騎士団を弾圧したからフランス人は騎士団と聞いたら眉を顰める可能性もあります。

 そして日本に毛が生えたくらいの島国が人口4800万というのも謎。移民を集めたとしてもそんなに増えるかね?油田や鉱物資源が豊富というご都合主義な面もおかしい。しかもこの国、当時の日本程度の技術力・工業力があって空母4隻から成る機動部隊も保有してるんですよ。戦闘機に至っては日本に輸出しているほど。しかし12㎜とか15㎜とか世界標準の規格に合わない機関銃を装備してるので兵站の面から誰も買わないでしょ?お前は露助か?www

 世界史に詳しい方は発狂するので読まない方がいいかも?それはともかく、日独伊に日本に準ずる国力を持ったアルキームが参加するので展開は確かに面白い。セイロン島は占領するは、チャンドラボーズを保護しインド国民軍を編成させインド亜大陸に送り込むはでやりたい放題。ニューギニア戦線にもアルキーム軍が参加しオーストラリア大陸西部も占領するなど今後どうなるのかあらゆる意味で不安です(爆)。

 さらにご都合主義なところは、大戦中に日本が満洲大慶油田を発見し石油に困らなくなったこと。ここまでくると苦笑せざるを得ません。ただ、リアルに考えずパラレルワールドの大戦史ととらえればそれもありかなと思います。

 インド洋には日本海軍に加えアルキーム海軍が我が物顔で闊歩しているのでイギリスもオーストラリアも踏んだり蹴ったりです。アメリカも史実の兵力展開に加えオーストラリア西部奪回に兵力を割かなければならないのが痛いところ。最終的にはアメリカが勝つでしょうけどね。

 楽しい読み物として寝転がって読むにはちょうど良い本です。突っ込みどころ満載でもそれを気にするような人は読まない方が良いんでしょう。私は楽しく読めました♪Ⅱも買うかな(笑)。