するとどうしてもネックになるのが、本土決戦で登場してくるであろうアメリカの凶悪三兄弟。すなわちP-80シューティングスター戦闘機、A-1スカイレーダー艦上攻撃機、B-36ピースメーカー戦略爆撃機。陸軍でもM26パーシングという最凶戦車を相手にしなければなりません。
P-80シューティングスター
A-1スカイレーダー
B-36ピースメーカー
P-80は推力24kNのジェット戦闘機。最高速度965㎞/hで12.7㎜機銃×6挺の固定武装を持っています。これに対抗できる日本側の戦闘機として震電をジェット化した震電改、あるいは陸軍のキ201火龍を考えたんですが、震電改はネ230(推力8.68kN)1基、火龍はちょっとましでネ130(8.9kN)2基で合計17.8kN。もちろん震電改はジェットエンジン2基の案もあるのですが、どちらにしても推力で大きく負けています。
スカイレーダーはアメリカ版流星。急降下爆撃と雷撃をこなす万能機で、攻撃機のくせに固定武装で20㎜機銃を4門も装備しています。朝鮮戦争ではMiG-15の撃墜記録もあるくらいです。下手したら日本のレシプロ戦闘機より強いかもしれません。
そしてB-36ピースメーカー。懐かしのPCシミュレーションゲーム太平洋の嵐の攻略本の表現を借りると「泣く子も黙る極悪非道の戦略爆撃機」です。航続距離15000㎞以上。爆弾10トンを搭載し高高度を700㎞/hで飛行できます。B-29でも苦労しているのに、B-36が出てきたら手も足も出ません。架空戦記ではB-36を秋水が撃墜するスカッとする話がありますが、ロケット戦闘機は使い勝手が悪すぎて不可能でしょう。
こういう現実に目をつぶってスカッとする話にすべきか、いや最低限の軍事史研究家(自称)の矜持を保ち厳しい現実を書くべきか、とても悩んでいます。
P-80に関しては航続距離が1930㎞、沖縄と鹿児島の直線距離は770㎞なので沖縄から本土に飛んできても30分も戦闘できないのが救い。ですから南九州占領を意図したオリンピック作戦に関してはシミュレートできても、関東上陸のコロネット作戦の段階では、P-80が本土に進出するので無理ゲーになります。書くとしたらオリンピック作戦に関してのIFになるかもしれません。