一応、もし何かの間違いで読もうと思った方は前記事
ボードゲーム版レッドサンブラッククロス戦闘序列
を参照してください(笑)。
さて、アメリカが参戦しなかった世界で日独がインドで激突するシミュレーションに現実性があるかどうかは置いておいて、無理に無理を重ねてインドが主戦場になった場合のドイツ軍の兵站に付いてまず考えてみたいと思います。
設定資料の戦闘序列によると、ドイツ軍のインド侵攻兵力は
計算を簡単にするために装甲師団と装甲擲弾兵師団の1日物資消費量は同じと考えます。ほぼ似た規模の1980年代のソ連自動車化狙撃師団で1日1177トン物資を消費します。第2次大戦当時は若干減ると考え、またその方が計算が楽なのでドイツ軍装甲師団・装甲擲弾兵師団の1日物資消費量を1000トンとしましょう。
一方、歩兵師団ですがこれも資料にバラツキがあって200トンから300トン、あるいは水の補給まで考えると500トンとされます。山岳地帯のアフガニスタンを通ってくるので、アフガン戦争時のソ連軍狙撃師団が500トンだった事からこれも計算しやすいように500トンとします。
すると、1000×20で2万トン、500×18で9000トン。これに空軍まで加わるとして大体ドイツ軍の1日物資消費量を4万トンとしましょうか。最初ドイツ軍はパキスタンのカラチ港を押さえていなかったので陸路のみで補給をする事となります。
ドイツ軍の主力輸送トラック、オペルブリッツの最大積載量3.3トン。ただこれだと小さすぎて効率が悪いので少なくとも5トン級の輸送トラックを投入したと仮定したとしても、単純計算で1日8000台輸送トラックが必要です。ただこれは補給拠点から前線部隊まで1台で済むはずはありませんから最低でも往復で1万6千台。補給拠点を途中何箇所か設ける事になりますから、現実的には1日に5トントラックが最低でも5万台近くは稼働していなければいけません。するとこっちのガソリン消費も莫大な量になり、前線で満足に戦闘する事すらままならなくなります。
いくら質で優れていても補給が無ければ満足に戦えませんから、航続距離の長い日本軍爆撃機はドイツ軍の陸上補給路を叩けば簡単に勝てるでしょう。ゲームでは空中戦艦富嶽がすでに完成してますから尚更有利です。必ずしも精密爆撃は必要とせず、アフガンの山岳地帯の道路を爆撃し使用不能とするだけで良いと思います。
あれ?となるとまともに戦争できませんな(苦笑)。イメージと違い日本がかなり有利となります。日本の場合、セイロン島をすでに占領しインド亜大陸の鉄道網も支配していますから、大輸送船団を組んでカルカッタ、マドラスにどんどん陸揚げすれば良いだけ。ドイツ軍がこれを防ぐにはUボートを使ってマラッカ海峡の外で待ちうけるしかありません。ただ泰緬鉄道が完成していると鉄道で直接インドに物資を送り込めるので日本軍は致命傷にはなりません。日本軍の鉄道を叩こうにもドイツ空軍爆撃機の航続距離では難しいでしょう。
万が一ドイツが勝つにはインド亜大陸に入ったらインダス川沿いに南下して一刻も早くカラチを落とす事。ただそこにもハードルがあり、制海権を日本から奪わなくてはなりません。これも無理ゲー。ゲーム上では日本機動部隊の主力艦上戦闘機はジェット化した旋風(閃電の艦上機型)ですからね。さらに日本は地上基地からの航空支援も期待できます。
いくら質が優れていても、近代戦の肝は補給。リアルに考察するとまったく面白くなくなりますな。日独のバランスを取るためには日本軍の総司令官を思いっきり無能(例えば牟田口とか)にして補給など近代戦の概念が欠如してる人間にするしかありません。馬鹿司令官なら簡単に勝てる方法を見つけられないかもしれませんが、設定資料上の印度派遣軍司令官は理論派の武藤章大将(史実では中将)、海軍の遣印艦隊司令官も闘将角田覚治中将。
あはは、絶対に無理だ。素人でも敵の補給路空爆は思いつきますから、武藤司令官は見逃さないでしょう。こりゃドイツ軍勝てないわ(笑)。
追伸: