いきなりマニアックな話で恐縮ですが、一般に弾丸の威力はジュールという単位で表されます。
この計算があっているかどうかは分かりませんが、某サイトによると
初速(m/s)×初速(m/s)×弾頭重量÷2000で算出できるそうです。ちなみに電動エアガンで0.8Jくらい。
よく拳銃弾でもマグナム弾はライフル弾より威力があると勘違いしている人がいますので参考までに書いておくと357マグナム弾でだいたい1000Jだそうです。44マグナム弾で1500Jくらい。一般的な拳銃弾の9㎜パラベラムで500J。一方現在主流になっている5.56㎜NATO弾は2000J以上あります。一昔前の7.62㎜NATO弾だとなんと3300J以上ありました。
これは弾丸の直径は拳銃弾より小さくても装薬量が多いからです。片手撃ちもできる拳銃より、両手でしっかり持って全身を使って撃たなければいけないライフルのほうがより威力のある弾丸を撃てるということなのです。
使用弾丸は6.5㎜弾(威力2600J)です。当時の列強の歩兵小隊編成では分隊ごとに軽機関銃が分隊支援火器として付きました。緊急時にはライフルの弾を寄せ集めて軽機関銃に融通しないといけないので通常共通の弾丸が使用されます。
一見良い傾向だと思われる方もいらっしゃるでしょうが、これは大失敗だったと一部の戦史家から指摘されているのです。といいますのも体格が欧米人に劣る小柄な日本人には7.7㎜でさえ大きすぎたからです。
7.7㎜弾を撃つと、肩を蹴られたような強い衝撃があったと伝えられます。そのため射手は引き金を引く時緊張して体を固くします。そして撃つため所謂ガク引きになり銃口がぶれて命中率が悪くなるのです。
一方、マイルドな衝撃の口径6.5㎜の三八式歩兵銃はよく当たったと証言されています。威力をとるか命中率をとるか?悩ましい問題ではありますがさらに致命的な事は同じ口径7.7㎜の九二式重機関銃と弾の互換性がないという欠陥がありました。
だったらなぜ7.7㎜を採用したのか意味が不明です。陸軍に兵站の感覚がなかった証拠でしょう。同じ7.7㎜で二種類の弾丸を使用しなければならなかった前線の将兵は気の毒です。ただでさえ脆弱な日本の補給能力はこのためにさらに悪影響を受けました。しかも完全に九九式小銃に切り替わったわけではないので三八式歩兵銃の6.5㎜弾まで加わると3種類です。
私は最初から6.5㎜で通した方が良かったと思います。現場に無用の混乱が起こりませんから。軽機関銃の口径を増大させるより擲弾筒の多数配備など別の手段で対処したほうがより正しい選択だったように思います。
それにしてもドイツ人って平均体格が大きいんでしょうね。7.92㎜のライフルを平気で撃つんですから(苦笑)。