鳳山雑記帳はてなブログ

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ヘーネルStG44 アサルトライフル(突撃銃)  (ドイツ)

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 この写真を見てソ連AK47と似ていると思った方も多いでしょう。それもそのはず、StG44の開発者であるヒューゴ・シュマイザーが戦後ソ連に抑留され、その助言のもとにミハイル・カラシニコフが設計したのがAK47だからです。
 
 アサルトライフル(突撃銃)というのは、短機関銃の銃弾(9㎜ルガー弾)と小銃弾(ドイツでは7.92㎜×57)の中間の威力の弾丸(7.92㎜×33クルツ弾)を使用し、小銃弾よりフルオート時の反動を抑え単発の狙撃と連射の機能を兼ね備えた銃のことです。
 
 一種の自動小銃ですが、英語圏では自動小銃といえば分隊支援火器の軽機関銃を指す場合が多いので注意しなければなりません。自動小銃といえば7.62㎜×51NATO弾を使用するアメリカのM14などが有名ですね。
 
 7.62㎜NATO弾はアメリカが弾薬の共通化大義名分にM14の弾丸をNATO諸国に押しつけただけというのが真相ですが(苦笑)、結局次のM16ではより小型の5.56㎜×45弾を採用しているのでアメリカも使いにくかったのでしょう。
 
 実銃を撃った方(ほとんどいないと思いますが…)かFPSゲームでM14などの7.62㎜NATO弾を使用した方はご存じだと思いますが、フルオートでは7.62㎜は反動が強すぎて銃口が上に跳ね上がって遠くの敵には当たりません。
 
 結局フルオート機能よりも、単発のセミオートか3点バースト(3発だけ連続発射する)を多用すると思います。これは実際の軍隊でも基本としていたそうです。(レバーで切り替え可能)
 
 
 クルツ弾なら小銃弾より反動も少なくフルオートに向きます。ただ小銃弾より威力がないため(=反動も少ない)小銃の有効射程500m前後に対して300mと短くなります。ドイツでは遠距離銃撃戦が発生する機会は少ないと割り切ってこれを開発しました。現在の各国の自動小銃の弾丸が5.56㎜主流になっている事を考えれば先見の明があったともいえます。 
 
 ただ最初ヒトラー総統は、弾を無駄撃ちする可能性が高いアサルトライフルを嫌います。そこで開発陣はMP(マシーネンピストーレ=短機関銃)として秘かに開発を進めました。ですから型式によってMP43、MP44という名称で呼ばれました。これらはStG44も含めてほとんど同じ(微妙な違いはありますが…)銃です。
 
 実際に戦っている前線の将兵は、アサルトライフルの有効性を十分理解しヒトラー総統に直訴します。ヒトラーは自分の命令に逆らって秘かにアサルトライフルの開発を続けていた事に激怒しますが、ことここに至ってはそれを許し大量生産を命じます。
 
 こうしてStG44はMP43、MP44も含めて42万6500挺生産されます。しかしコストがKar98kボルトアクションライフルの56ライヒスマルクに対して70ライヒスマルクと割高だったため完全に置き換えることはできませんでした。
 
 置き換えるにはドイツ軍の規模から考えて700万挺近く生産しなければなりませんからね。
 
 また、弾丸の生産も追いつかなかったはずです。戦況が逼迫するなかよく40万以上も生産できたとむしろ感心します。
 
 StG44はSS(武装親衛隊)や降下猟兵空挺部隊)などエリート部隊を中心に配備され、連合軍を苦しめました。
 
 一番痛い目に遭ったのはソ連で、そのために一早くアサルトライフルの開発に着手しAK47という名銃の採用に至ったのでしょう。
 
 
【性能諸元】
 
使用弾丸:7.92㎜×33クルツ
装弾数:30発
全長:940㎜
銃身長:419㎜
本体重量:5.22kg
初速:685m/s
発射速度:毎分120発(フルオートの場合)