みなさん、パンツァーファウストなるものをご存知でしょうか?戦史に詳しい方なら当たり前すぎる代物ですが、万が一御存じのない方のため(そういう人はまずこの記事を読まないでしょうが…苦笑)に簡単に説明しておきますね。
パンツァーファウストとは…【第二次世界大戦中のドイツ軍が使用した携帯性の高い対戦車擲弾発射装置である。「ファウストパトローネ」(Faustpatrone)<Faust = 拳、Patrone = カートリッジ、弾薬> とも呼ばれる。】(ウィキペディアより)
最近私、火砲に凝ってましてドイツ軍の主要火砲を調べて行くうちに個人用の火砲ともいうべきこれを紹介しとかないといけないだろうと勝手に思った次第でございます(爆)。
パンツァーファウストは、従来の砲弾ではありません。通常砲弾の運動エネルギー弾(速度と質量で威力が決まる)ではなく、所謂化学エネルギー弾を使用しています。
これは砲弾の中を漏斗状に内張り(ライナー)成形し、目標に衝突した瞬間に起爆剤によって漏斗中心に超高速噴流(メタルジェット)を発生させその衝撃によって装甲を侵徹する(けっして溶解するのではないところがミソ)ものです。【ユゴニオ弾性限界】
ということは運動エネルギー弾と違って初速が低くてよく、ライフリングによる回転も必要ない(というか回転したら威力が落ちる)ので、大がかりな発射装置が要りません。ただし初速30m/s、放物線状に飛んでいくので当たりにくい。しかも無反動砲の一種なので爆風が後方へ飛び危険極まりない(苦笑)。
この砲弾を使用する兵器がバズーカ(対戦車ロケット弾)であり、パンツァーファウストなのです。
パンツァーファウストの後ろに30とか60とか数字が書いてありますが、これは有効射程を表します。30なら30mの距離で装甲貫徹力140mm、60以上ならその距離でだいたい装甲貫徹力200mmを誇ります。
戦車相手にかなり接近して発射しないといけませんが、市街戦やジャングルあるいはブッシュの中では恐るべき威力を発揮します。兵士個人を戦車に対しての重大な脅威としたのがパンツァーファウストでした。
威力の割には構造が単純で大量生産でき(目標は月産150万本!)、使い捨てとは言いながら兵士が複数本携帯できることから、大戦末期に編成された国民擲弾兵師団や国民突撃隊でも銃や火砲は無くともパンツァーファウストだけは大量に持っていたそうですから怖ろしいです。
陸海軍共同で研究されタ弾と名付けられ空対空、あるいは空対地爆弾、火砲の砲弾として使用されたそうですが、一番肝心な個人用対戦車兵器としては使われませんでした。
精密加工技術などが日本はドイツより劣っていたのかなあ?分隊支援火器として兵士数名に持たせればジャングル戦なんかでものすごい効果を発揮したはずなんですけどね。相手が戦車で無くとも、例えば陣地に撃ちこむだけで500度の高熱を発し焼き殺すことができる(柘植久慶情報)そうですよ。
そういえば「大統領の刺客」でゲリラの陣地にRPGぶち込んでいた記憶が(爆)。