しかし、この香乱記を読み忘れていた!!!
名前は知っていたんですが、いつか読もうと思いながらすっかり忘れていたんです。ところが2ちゃんねるの中国英雄板でこの作品名がでてたので思いだし今回アマゾンで注文、いま全3巻を3時間で読み終わりました(爆)。
いかにも宮城谷さん好みの人物ですが、実際彼が死んだ時500人の食客がみな彼の墓前で自決したそうですから人心を得た義の人だったんでしょう。
この作品では項羽はもとより劉邦、そして韓信も悪人に描かれています。まあ実際そういう要素もあったろうとは思いますが、司馬遼太郎の「項羽と劉邦」の愛読者としてはもう少し愛すべきところも見てやってください!と思わなくもありません(苦笑)。
私は特に田横を取り巻く三人の美女それぞれの運命に心を打たれます。
婚約者であった小珈(しょうか)は、行方不明になった田横を死んだものと嘆き自害します。
一方、同じ田氏ということで正妻になれない季桐(きとう)は田横と互いに惹かれながらも一夜を共にしただけで自ら身を引きます。
そして正妻になった蘭(らん)。秦の皇太子扶蘇(ふそ)と楼煩(ろうはん)国の王女との間の忘れ形見で田横と運命的な出会いをします。
ネタばれになるので、これから本を読もうとする人には見てほしくないんですが…
田横が韓信の騙し討ちに遭い抵抗を続けるもついに降伏し自害したのち、田横の子を宿した蘭は信頼できる近臣とともに東海の神仙の国(おそらく日本)に旅立っていくんですよ。これが泣けるのなんのって。
しかも、秘かに彼らに船を与えたのがそれまで敵対して憎たらしかった曹参だったんですから、こいつなかなかのナイスガイじゃないか!英雄、英雄を知るってところでしょう。でもそうなると上役の韓信がよけい惨めになるんだよな(苦笑)。
ラストシーン、洛陽郊外で死んだ田横の墓を秘かに守り続ける季桐(きとう)と、田横の墓参りに来た曹参が出会うところが一番印象に残りました。余韻といってもいいでしょう。宮城谷作品らしく最後に爽やかな風を起こしてくれます。
久しぶりに美しい作品に出合えて、大満足です。