

1番艦利根は1934年、2番艦の筑摩は1935年三菱長崎造船所で起工されます。その時海軍は利根型の改正要求を出し、主砲を一基減らす代わりに対空能力向上させ、偵察巡洋艦として水偵を4機から6機に増やすよう要求しました。
ロンドン海軍軍縮条約の失効により、主砲を15.5cmから20.3cmに強化することも求められたため、利根型は重巡として完成します。
利根型は主砲を全部艦の前方に集め、後尾を水偵の発着スペースにするという特異な形をしていますが、一説では大和型戦艦を建造するための実験だったとも言われています。実は大和型戦艦の計画案の一つに英国のネルソン級のように主砲を艦の前方に集めるものがあったのです。
偵察力を買われて利根型は、機動部隊の目となり活躍します。ミッドウェー海戦で利根の索敵機が故障で30分発進を遅らせたため敵機動部隊を発見できず敗北したと巷間言われていますが、最近の研究では定時の発進でも発見は難しかったそうです。いわれない濡れ衣は上層部の判断ミスを隠すために犠牲になったということでしょう。
筑摩は1944年サマール島沖海戦で沈没しますが、利根は生き残り呉軍港で空襲を受け大破着底したところで終戦を迎えます。空母とともに栄光を担った艦でしたが、最後は空母機動部隊も無くなり戦艦部隊の随伴として使われ、散って行きました。
排水量 | 基準:11,213t 公試:13,320t |
全長 | 201.6m |
全幅 | 19.4m |
吃水 | 6.23m (公試) |
機関 | ロ号艦本式缶8基 艦本式タービン4基4軸 152,189馬力 (公試成績) |
最大速 | 35.55kt (公試成績) |
航続距離 | 18ktで9,240浬(公試成績) |
燃料 | 2,700t(実測値) |
兵員 | 874名 |
兵装 (竣工時) | 20.3cm連装砲4基8門 40口径12.7cm連装高角砲4基8門 25mm連装機銃6基12挺 13mm連装機銃2基4挺 61cm3連装魚雷発射管4基12門 |
兵装 (1945年) | 20.3cm連装砲4基8門 40口径12.7cm連装高角砲4基8門 25mm三連装機銃14基42挺 25mm連装機銃2基4挺 25mm単装機銃21挺 (機銃は推定) 61cm3連装魚雷発射管4基12門 |
装甲 | 舷側:145mm 甲板:35mm |
航空機 | 水上機6機 (カタパルト2基) |