鳳山雑記帳はてなブログ

立花鳳山と申します。ヤフーブログが終了しましたので、こちらで開設しました。宜しくお願いします。

利根型重巡洋艦

イメージ 1
 
イメージ 2
 
 帝国海軍の軍艦命名に詳しい方は、重巡なのに河川の名前(通常軽巡につける。重巡は山)をつけられたことに疑問を感じられるでしょう。
 
 実は前級の最上型と同様最初は軽巡として計画されたのです。計画案では15.5cm三連装×5基 15門と竣工時の最上と同じ武装でした。
 
 1番艦利根は1934年、2番艦の筑摩は1935年三菱長崎造船所で起工されます。その時海軍は利根型の改正要求を出し、主砲を一基減らす代わりに対空能力向上させ、偵察巡洋艦として水偵を4機から6機に増やすよう要求しました。
 
 ロンドン海軍軍縮条約の失効により、主砲を15.5cmから20.3cmに強化することも求められたため、利根型は重巡として完成します。
 
 利根型は主砲を全部艦の前方に集め、後尾を水偵の発着スペースにするという特異な形をしていますが、一説では大和型戦艦を建造するための実験だったとも言われています。実は大和型戦艦の計画案の一つに英国のネルソン級のように主砲を艦の前方に集めるものがあったのです。
 
 偵察力を買われて利根型は、機動部隊の目となり活躍します。ミッドウェー海戦で利根の索敵機が故障で30分発進を遅らせたため敵機動部隊を発見できず敗北したと巷間言われていますが、最近の研究では定時の発進でも発見は難しかったそうです。いわれない濡れ衣は上層部の判断ミスを隠すために犠牲になったということでしょう。
 
 筑摩は1944年サマール島沖海戦で沈没しますが、利根は生き残り呉軍港で空襲を受け大破着底したところで終戦を迎えます。空母とともに栄光を担った艦でしたが、最後は空母機動部隊も無くなり戦艦部隊の随伴として使われ、散って行きました。
 
 
性能諸元
排水量基準:11,213t 公試:13,320t
全長201.6m
全幅19.4m
吃水6.23m (公試)
機関ロ号艦本式缶8基
艦本式タービン4基4軸
152,189馬力 (公試成績)
最大速35.55kt (公試成績)
航続距離18ktで9,240(公試成績)
燃料2,700t(実測値)
兵員874名
兵装
(竣工時)
20.3cm連装砲4基8門
40口径12.7cm連装高角砲4基8門
25mm連装機銃6基12挺
13mm連装機銃2基4挺
61cm3連装魚雷発射管4基12門
兵装
(1945年)
20.3cm連装砲4基8門
40口径12.7cm連装高角砲4基8門
25mm三連装機銃14基42挺
25mm連装機銃2基4挺
25mm単装機銃21挺
(機銃は推定)
61cm3連装魚雷発射管4基12門
装甲舷側:145mm 甲板:35mm
航空機水上機6機 (カタパルト2基)