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「DB605」と「Jumo213」  大戦中後期を支えたドイツの傑作エンジン

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 第2次大戦欧州戦線はまさに液冷エンジン搭載の戦闘機が猛威をふるった戦場でした。アメリカのP‐51、イギリスのスピットファイア、ドイツのBf‐109。P‐47など一部の例外はありましたが、空冷だったFw190でさえ、D型以降ではより高性能化を目指して液冷エンジンに換装したくらいです。
 
 フォッケウルフFw190が液冷エンジンに換装できたのは、それだけ優秀なエンジンが開発されていたからでした。大戦中後期、ドイツを代表する名エンジン、ダイムラーベンツDB605、そしてユンカースJumo213、それ以外にもいくつかの優秀エンジンをドイツは開発しています。
 
 これらのおかげで、メッサーシュミットBf109も、フォッケウルフFw190もパワーアップに成功し、日進月歩の戦闘機開発で何とか連合軍に対抗することができたといえます。
 
 まずダイムラーベンツDB605ですが、これは有名なDB601をサイズはそのままにシリンダー内径を拡大し、出力増大を図ったものです。しかも燃料事情の悪いドイツで有効使用できるように87オクタンでも動作でき、水エタノール噴射で一時的には2000hpの出力を得られる構造でした。もちろん100オクタンガソリンなら当然同等の出力は得られました。
 
 DB605は、Bf109G型から搭載されました。それまでのDB601との外見上の違いは機体のノーズが角ばっているか、すっきりしているかです。ただDB601搭載のF型もすっきりしてるので、エンジンというより機体再設計の結果なのでしょう。
 
 一方、ユンカースJumo213は、フォッケウルフFw190D、そしてその発展型であるTa152搭載エンジンとして有名です。もともとダイムラーベンツにエンジン開発で水をあけられていたユンカース社が、ライバルの新エンジンであるDB603(601の拡大型で1780hp)を超えるエンジンを目指して開発したものでした。
 
 これもオクタン価87での使用を前提とし、100オクタンで使用すれば飛躍的に能力が向上するものでした。当初タンク技師はTa152のエンジンにDB603搭載を希望していましたが、主力戦闘機Bf109への優先供給を理由に拒否され、仕方なく搭載したものでした。
 
 しかし逆に、これによってBf109の生産ラインに影響されず、たとえ生産数は少なくとも安定的にエンジン確保ができるようになります。また意外とJumo213が高性能だったことは幸いでした。DB603は確かにより高性能でしたが、結局まともに生産されなかったのです。
 
 Jumo213エンジン搭載のフォッケウルフTa152Hは、高度15000mで実に750km/hとレシプロ機では究極ともいうべき性能を示しました。Jumo213はこの他に、ユンカースJu188、Ju388にも搭載されましたが、Ju388は夜間高高度戦闘機として優秀な機体でした。
 
 
【性能諸元】
 
 『DB605AS』
形式:液冷倒立V型12気筒(Vの角度は60°)
ボア×ストローク:154 mm × 160 mm
排気量:35.7 L
全長:2,303 mm
直径:845 mm
乾燥重量:730 kg
離昇出力:1415hp(水エタノール噴射で1775hp)…DB605Lでは2000hp以上。
 
 
『Jumo213E』
形式:液冷倒立V型12気筒
ボア×ストローク:150mm×165mm
排気量:35L
全長:2,266mm
直径:不明
乾燥重量:940 kg
離昇出力:1750hp(水エタノール噴射で2022hp)