
今日の記事はマニアックだなあ(笑)。読んでくれる人はいないかも?
まあ愚痴はこれくらいにして、第2次大戦中数々の主力機と試作機の運命を狂わせたエンジンハ45(海軍名 誉)、そしてハ43。よく「設計に無理があったので誕生した時点から失敗が運命づけられていた」と述べている専門家の記述を見ます。(ちなみに写真は誉です)
しかし調べてみるとハ43は言うまでもなく、ハ45でさえ基本設計にそんなに無理があったわけではなかったようです。三菱の主力エンジンにするべく無難にまとめられたハ43はもとより、奇跡の2000馬力級エンジンといわれた中島のハ45でさえ、計算上実現可能な数値で設計されていたといいます。
それが大戦末期になって不調に悩まされたのは、高い技術が必要なエンジン製作に携わっていた熟練工が徴兵され学徒動員された学生や新米工がエンジンを作っていたからです。このあたり陸海軍の生産計画自体に問題があったのでしょう。技術者や熟練工は動員からはずさなきゃ。当たり前のことだと思いますよ。
それでは疾風や紫電改のエンジンとして有名なハ45(誉)と金星系列の名エンジンになるはずで烈風搭載が予定されていたハ43の比較を行いましょうかね♪
左がハ45(誉)、右がハ43
排気量: 35.8L 41.6L
全長: 1690㎜ 2020㎜
直径: 1180㎜ 1230㎜
乾燥重量:830kg 960kg
離昇出力:1990hp 2200hp
過給機: 両者とも 遠心式スーパーチャージャー1段2速
設計的にはハ43のほうが無理ないような気がします。ちなみにこのデーターは最良の状態での数値ですから、製造過程と整備過程で環境が悪化した大戦末期には稼働率も落ち、燃料事情からハ45に関してはせいぜい1600hpくらいだったろうといわれています。ハ43に関しては資料がないので分かりませんがおそらくこれも1800hpいけば良いほうだったかと想像します。
よくハ45でなくハ43を主力エンジンに設定すべきだったという人がいますが、ハ45が多くの飛行機に搭載され数が多かったから目立っただけで、ハ43にしろ劣悪な製造環境ではその力を100%発揮できたかどうかかなり疑問です。
ちなみにライバルアメリカの名エンジンといわれるP&W R‐2800(通称ダブルワスプ。P‐47のエンジンとして有名)のデータも参考までに載せときます。
排気量:45.9L
全長:2241㎜
直径:1321㎜
乾燥重量:1000kg
離昇出力:2000hp
過給機:遠心式スーパーチャージャー2段2速
う~ん、これが一番無理がない。ただ直径がでかすぎてP‐47やF4UやF6Fのようなおデブちゃんになってしまうんだよなあ(苦笑)。エンジンの重さだけで1トンって…、エンジン2個で零戦の重さになるんですよ!
小型にするって日本人のお家芸ですけど、それだけ無理が生じるのも事実。技術開発は難しいですね。