鳳山雑記帳はてなブログ

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『天正十年夏の記』  岳 宏一郎 (著)

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 本日天気がよかったので久々に書棚の整理をしていました。山積みした本の奥で見つけたのがこれ。整理をほったらかしにして1時間ほど読みふけってしまいました(笑)。
 
 
 信長上洛から本能寺の変までの、時代に翻弄される公家社会・畿内の情勢を青年貴族勧修寺晴豊(かじゅうじはるとよ)の目を通して描く佳作です。信長上洛時の織田勢力と旧支配者三好三人衆のどちらに付くかで悩む公家たち、信長と義昭の対立でも彼らは右往左往します。
 
 自分たちは力を持たず、時の権力者に寄生することでしか生きれない彼らに哀れを覚えますし、仕える相手を間違えると即滅亡というシビアな世界に生きていることにも儚さを感じます。
 
 主人公の勧修寺晴豊は、ひょんなことから信長の京都所司代村井貞勝と知り合い友情をはぐくみ、好むと好まざるにかかわらず織田家と運命を共にする羽目に陥ります。それが果たして吉と出るのか凶と出るのか?
 
 しかし、結局最後は宮中に上がった妹が生んだ皇子が、後陽成天皇に即位し外戚となるのですから稀代の幸運児だったのでしょう。
 
 私はこの物語の影の主人公ともいうべき村井貞勝の生きざまに共感を覚えます。
 
 
 久しぶりに読んだんですが、なかなか楽しめました。歴史好きの方、戦国史を別の視点から見ることができて新鮮ですよ!