鳳山雑記帳はてなブログ

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書評 「機甲戦の理論と歴史」

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 前から気になってた本でした。ちょうどイスラエルのタル理論(機甲総監タル少将の完成させたオールタンクドクトリン)についての詳細を知りたかったので今回購入しました。


 同書は芙蓉書房出版のストラテジー選書の一冊ということで期待は大きかったのですが、良く言えば機甲戦の歴史をグローバルにとらえた良書、悪く言えば不必要な情報にまで拡大したために肝心の「電撃戦理論」(ドイツ)「縦深作戦理論」(ソ連)「タル理論」(イスラエル)の三大機甲ドクトリンの紹介が圧迫され少々物足りない本でした。


 日本の読者向け(サービス?)なんでしょうが、まともなドクトリンなど確立した事がない日本の機甲戦術の歴史や、ドイツの猿真似である米英の機甲戦の歴史は不必要だと思います。

 もしアメリカを紹介するなら現代の「エア・ランド・バトルドクトリン」をもっと詳しく紹介すべきでしょう。


 三大機甲ドクトリンの記述があまりにもあっさりしすぎて、私の知識の範囲内だった事はがっかりでした。

 まあ悪口ばかり言ってもなんなんで、少しほめておくと第2次大戦中の各国(といっても米ソだけ)の主要戦車の戦車砲の初速、威力などが載った一覧表は貴重です!九七式戦車(チハ車)の戦車砲の威力を1とした時の各国戦車砲の指数が載っていてためになります。ちなみにM4シャーマンの75佶い琉厠呂9.9。こりゃ勝てんわ…。これがT34/85だと12.9もあります!!!


 ただ初心者が、戦車戦術あるいは戦車を中心とした機甲部隊の運用とはどういうものかを知るには良い本だと思います。おそらく筆者もそれを念頭に書いたのだろうと最大限好意的に解釈しておきます(笑)。