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『魔術師ヒトラー』① - 権力以前 -

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 アドルフ・ヒトラーナチスドイツの絶対権力者で第二次世界大戦を起こした張本人。ユダヤ人虐殺をはじめとする数々の残虐行為を行った史上最悪の狂人。これが今を生きる我々の世界史的な位置づけだと思います。


 確かに数々の彼の行為は絶対に許すことのできない悪行であることは間違いありません。しかし、第二次世界大戦を起こさなかったらノーベル平和賞を取ったかもしれないと言われていたのも事実。天文学的インフレに苦しむドイツを数年で不死鳥のごとく蘇らせ世界有数の工業大国にしたのは彼の手腕です。


 私的にはヒトラーは悪人であり狂人であったと結論付けざるを得ませんが、一方スターリン毛沢東など他の独裁者と次元の違う大天才であったと思っています。


 この20世紀の巨人を、オカルト的観点を中心にして見ていきたいというのが本シリーズの趣旨です。
 本稿では彼の簡単な生い立ち、何故権力を握ることができたか?について見ていきます。もっともオカルト面以外の事柄については趣旨から外れるので、簡単な紹介にとどめます。




 アドルフ・ヒトラー(独: Adolf Hitler, 1889年4月20日 - 1945年4月30日)。オーストリアの片田舎に裕福な税関吏の子として生まれ、青年期には画家を志望しウィーンで苦学生をしていたと伝えられます。その後第一次世界大戦が勃発するとドイツ陸軍に志願。彼の生い立ちには謎が多いのですが、この従軍時代は特に不思議なエピソードが語られています。


 ヒトラーは、最も危険な伝令兵を引き受けしかも奇跡の連続とも言うべき強運で生き延びます。

 たとえば、連隊本部にいたヒトラーが、たまたま訪ねてきた中隊長に席を譲るためテントを離れた瞬間、英軍の砲弾が直撃し本部にいた人間がことごとく死んだ中一人だけ生き残ったエピソード。

 また、戦友たちと塹壕で食事をとっていたとき、頭の中で「その場所を離れよ」という声を聞き、一人だけ20mほど移動したところ、ヒトラーが今まで座っていたその場所に敵弾が直撃、一人だけ生き残ったこともありました。

 このような奇跡が一度や二度ではなかったのです。あるとき戦友がヒトラーに「何故君は危険から逃れることができるんだ?」と尋ねたところ、「頭の中でいつも不思議な声がアドバイスするんだ」と答えたといいます。


 戦友たちもこのような奇跡を何度も見せられると、ヒトラーのいる場所が安全だと判断し付いて来るようになりました。ヒトラーは毒ガスで目をやられて入院するまで40数回の戦闘に参加、一級鉄十字章などの数々の勲章を授与された模範的兵士でした。


 この不思議な能力は持って生まれた能力だったのでしょう。ほとんど予知能力と言ってよいかもしれません。


 実はヒトラーの生まれたブラウナウは数々の霊媒を生みだす霊媒地方として有名でした。ヒトラーの血にも霊媒の遺伝子があったのでしょう。


 ヒトラーは大戦の終結を毒ガスでやられた目の治療のため入院していた病院で知ります。一時は失明の危険もありましたが、何とか治療できました。


 祖国の滅亡に絶望感を抱くヒトラーでしたが、一方この入院時にドイツを救うように命ずる超自然的なヴィジョンを見たと伝えられます。私はこの時を魔術師ヒトラーの誕生と見ています。


 退院したヒトラーは、軍の啓蒙分遣隊に選抜され勃興する社会主義運動を封じる活動に従事します。彼にとってこの活動が権力への第一歩になったのは皮肉な結果でした。


 1919年秋、ヒトラーは新たに結成されたドイツ労働者党と名乗る政治結社への潜入を命ぜられます。実はこの団体は、トゥーレ協会という秘密結社が公然活動部門として設立した組織でした。

 秘密結社と言うと日本では夢物語と捉えられがちですが、欧米ではフリーメーソンをはじめ半ば公然と活動し社会に影響を与えてきたのです。



 【トゥーレ協会は、ミュンヘン社交界で有名な詩人、デートリッヒ・エッカルトが中心になって運営していました。「トゥーレ」とはゲルマン神話に出てくる極北にあると言われている伝説の島のこと。透明なダイアモンドに囲まれた氷の島でありながら、中は暖かく常春の楽園だと伝えられます。十二人の賢者に支配され人々は不老長寿を享受しているとされます。】(カッコ内の記述は覚えておいてください。後々ナチスのオカルト思想と地球空洞説のところで触れます)


 エッカルトはヒトラーの神秘的な予知能力と雄弁の才を見抜き、将来のドイツの指導者としての英才教育を施しました。おそらく各地の著名な神秘思想家に出会ったのもこの時期だと思われます。

 エッカルトの理解では、「トゥーレ」とは太古に滅んだアトランティス人の末裔が逃れ極北のどこかに築いた小アトランティスであり、古代からの叡智を受け継いでいる、というものでした。この叡智を手にしたものこそ世界の支配者になれるという思想はヒトラーにも受け継がれていたはずです。



 軍のスパイとして潜入したはずが、秘密結社の後継者として迎えられることになったヒトラーは、1923年エッカルトの死のときまで、彼から秘儀伝授をうけ予言者として、さらに呪術者としての能力を研ぎ澄ませていきます。


 後年彼に会った誰もが惹き付けられた魔的なまでのカリスマは、この時培われた呪術師としての能力だったと想像できます。


 高名な心理学者カール・グスタフユングがいみじくも後にヒトラーを評した言葉
「彼は真に神秘的な呪術の範疇に入る人間である。彼の目は政治家の目ではない。予言者の目でありそれは魔術である。」は、あながち的外れでもなかったのです。一般の人間がヒトラーの演説に酔いしれ熱狂的な信者になったのも不思議ではありますまい。


 ヒトラーはドイツ労働者党を1920年「民族社会主義ドイツ労働者党」(ナチス)に改名します。そして名実ともにエッカルトの後継者となったヒトラーは、入党以来14年でナチスを完全に掌握することとなりました。これは判事や警察の上層部、貴族や有力政治家が会員に連なる組織としては稀有なことでした。


 いくらエッカルトが後継者に指名したとはいえ、一介の平民に過ぎない男が社会の支配階級で占められる集団の長となることは身分制度の厳しい当時のドイツではあるはずのない出来事だったのです。


 まずこのことが第1の奇跡。そして第2の軌跡はナチスが合法的にドイツの第1党になったことでした。


 いくら天文学的なインフレでドイツが疲弊し、人々が強力な指導者のもとでの社会改革を熱望していたとしても、1923年のミュンヘン一揆で5年の禁固刑を受けた人間が後に総統となって独裁権力をふるうなど誰が想像できたでしょうか?


 ヒトラー権力奪取の過程については本稿の趣旨ではないので簡単に触れますが、党内外の反対派もヒトラーに会えば一瞬にして魅了され味方に付いたといいます。例えば後にナチスの宣伝相として辣腕をふるったゲッペルスも、はじめはヒトラーを党を破滅させる危険人物とみて排除をもくろむ集団に属していました。しかしヒトラーを知るにつれ、いつしかそのもっとも忠実な腹心となっていきました。


 ヒトラーの有力な庇護者の一人には、第一次大戦の英雄で軍の重鎮であったルーデンドルフ大将もいました。軍や政財界の有力者を味方につけ、カリスマ的演説で大衆を魅了したヒトラー率いるナチスは、わずか数議席の泡末政党から数年で得票率18%の第2党にまで成長します。

 そしてついに1932年の総選挙で得票率38%の第1党に躍り出ます。1933年1月ヒトラーは首相に就任し内閣を組閣しました。

 この後、水晶の夜などの陰謀を経てヒトラーは最終的に大統領と首相を兼務する総統という独裁者の地位を得るまでに至ります。


 政財界の有力者は、ヒトラーを操り動かしているとずっと思い続けてきました。しかし実態はヒトラーこそが彼らを利用し操っていたのです。彼らが後悔した時にはもはや手遅れでした。気がつくとヒトラーは総統という彼らの手の届かない存在になっていました。



 実はこのヒトラーの登場は、ヨハネの黙示録にもノストラダムスの大予言にも記されていました。特に黙示録では666の数字を持つ「黙示録の獣」として彼の登場を預言していたほどです。


 本稿ではヒトラーの総統になるまでの軌跡を簡単に振り返りました。次回はヒトラーの神秘思想について語ろうと思います。