鳳山雑記帳はてなブログ

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『ダニエルズ・プラン(三年艦隊計画)』(米)

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 日本の「八八艦隊計画」、ドイツの「Z計画」を紹介したので、アメリカの「ダニエルズ・プラン」(三年艦隊計画)を紹介せねばなりますまい(笑)。


 第一次世界大戦後、それまで世界の海軍をリードしていた英国が大戦の痛手の回復に苦しんでいる頃、それに代わる超大国として台頭してきたのがアメリカです。

 国土が直接戦場にならなかったばかりか、戦後各国に復興資金を貸し付け世界一の債権国になったアメリカが次に目指したのは、国力の発露ともいうべき海軍力の整備でした。


 その頃太平洋をはさんだ日本でも八八艦隊計画を実行しつつありましたから、まさに英国に代わる新興の二大海軍国の競争とも言えました。

 当時の海軍長官ジョセファス・ダニエルズの名前からこう呼ばれました。すなわち戦艦10隻・巡洋戦艦6隻をはじめとして計155隻の艦艇を3年間で建造するという恐るべき大建艦計画でした。

 これが実現すれば、既存の艦隊と合わせておそらく八八艦隊を凌ぎロイヤルネイビーさえも凌駕する世界最大最強の艦隊になるはずでした。なにしろ超弩級戦艦だけでもニューヨーク級からテネシー級まで11隻もすでに保有していたのですから。


 これにダニエルズ・プラン

 コロラド級戦艦4隻  16インチ砲8門

 サウスダコタ級戦艦6隻 16インチ砲12門

 レキシントン級巡洋戦艦6隻 16インチ砲8門

 が加わるわけですから、その威力は計り知れません!


 そしてこれだけでなく、重巡軽巡駆逐艦合わせて155隻!!!


 世界一の金持ちアメリカでなければ、冗談でも出てこないような数です。しかも当時のアメリカの国力を考えれば易々と達成できたかもしれないと思うと空恐ろしい話です(苦笑)。


 私はワシントン海軍軍縮条約は、日本の八八艦隊計画もそうですが英国がアメリカのダニエルズ・プランを葬り去ることを念頭に置いた条約ではなかったかと睨んでいます。もしこれが実現すると英国が世界一の海軍国から転落することは目に見えていましたから。(大戦終結時でもやや米国海軍が優勢)


 ちなみに画像は、一枚目がコロラド級4番艦ウェストヴァージニア、二枚目がサウスダコタ級戦艦(未完成)、三枚目がレキシントン級巡洋戦艦(未成。1番艦のレキシントンと3番艦のサラトガは空母に改装)です。


 ただ今考えてみると、ワシントン、ロンドン両軍縮条約があったために大艦巨砲主義が滅び、空母による機動部隊戦術が誕生したので軍事史的には良かったのかもしれません。