このまえお別れ記事をかいたばかりなのに、なし崩しに再開しそうだなあ(爆)。
ところで、みなさん乾坤通宝ってご存知ですか?よほど日本史に詳しいかたじゃないと知らないと思います。恥ずかしながら私も高橋克彦さんの「南朝迷路」というミステリー小説を読むまでは知りませんでした。
乾坤通宝とは「『楮幣』とよばれる新紙幣、貨幣の発行も計画され、1334年3月には「乾坤通宝」発行詔書が発行されているが、乾坤通宝の存在は確認されていない。」(ウィキペディアより)という幻の通貨で、鋳造されたかどうかも謎というものです。もし実在が確認されたら、1枚数千万から1億もするという代物です。あるはずのないものだから、それぐらいの価値はあるでしょう。
なぜ建武通宝としないで、乾坤と名付けたかは、どうも真言立川流との関係がありそうなのです。立川流の呪術的な意味をこめて乾坤としたといいます。
伝説では、後醍醐天皇が懐良(かねなが)親王や宗良親王など各皇子に軍資金として持たせて、各地に下向させたそうです。
実際に貨幣として通用したのは、曲がりなりにも一時九州を統一した懐良親王の征西府政権だけだったみたいです。貨幣が貨幣として通用するには信用がないといけませんからね。
物語では、征西府政権瓦解後、一時隠岐に身を隠し大陸に渡ろうとした征西府の残党が島に隠した埋蔵金、そして北朝勢力に圧迫され宗良親王が信州から陸奥に逃れた際に、今の青森県に隠した埋蔵金の話へと展開していきます。
長野県と青森県に共通する大河原という地名の一致の謎、秘宝を巡っての殺人、題材としてはかなり面白かったです。ラストはちょっといただけなかったですが、まあまあの佳作でした。
さすがに高橋克彦です!