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「壇ノ浦の戦い」 - 負けるべくして負けた平家 -

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 作家柘植久慶さんの「源平合戦・戦場の教訓」は、源平合戦を軍事的観点から考察した良著です。なかなか考えさせられる記述が多いのですが、壇ノ浦の戦いが平家の軍の組織的欠陥によって滅びたという記述は、私も薄々感じていたために納得させられました。

 一の谷、屋島で連敗した平家は、この壇ノ浦が最後の決戦場でした。にもかかわらず平家は甘い覚悟で挑みます。それは女官をはじめ家族と同道して戦いに赴いたのです。柘植氏は第二次インドシナ戦争における南ベトナム政府軍を例に挙げ、家族と同道した軍隊は家族の安全を気にかけ、ある程度激戦になると逃げることを考え始めるということを指摘します。逆に1836年アラモの攻防戦では、籠城するテキサス独立軍が家族をすべて退去させ全滅するまで戦ったという例を挙げます。

 この場合、安徳天皇はともかくとして、女官や家族達は後方の彦島に退去させ、もし戦いに敗れたら全員自害して果てるという覚悟を示していたら、勝敗の行方も分からなかったそうです。私もまったく同感です。どうも平家は、あまりにも貴族化しすぎ武士としての戦い方を忘れてしまっていたのでは?と想像してしまいます。水鳥の飛び立つ音を敵襲と勘違いして雪崩をうって壊走するはずです。

 柘植氏によれば、家族と同道する軍隊は軍事後進国に多いそうです。平家は軍隊としては失格の集団だったのでしょう。平家贔屓なだけに残念ですが、歴然とした事実です。