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両面宿儺と古代飛騨王朝

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 仁徳天皇の時代(5世紀後半)、飛騨の国に両面宿儺(りょうめんすくな)という怪物がいて暴れまわっていました。日本書紀によると頭の前と後ろに顔があり、4本の手と4本の足を持っていたそうです。
 朝廷の命に従わず、手下を従え村里に現れては女や食料、財宝を略奪しました。朝廷は将軍、武振熊(たけのふるくま)を派遣して討伐します。
 両面宿儺は位山に陣取って激しく抵抗しますが、ついに朝廷の軍勢の前に滅ぼされました。

 これが両面宿儺の伝説ですが、地元では悪魔を退治したり豊作をもたらしたりと人々を守る善神としての一面も語り伝えられています。一説では、飛騨地方に栄えた勢力の双生児の王で、両面と4本の手足はその象徴ではなかったかとも言われています。

 ところで飛騨一宮水無神社は位山をご神体とします。祭神は御歳大神天火明命応神天皇神武天皇などあわせて16柱で、水無大神(みなしのおおかみ)と総称するそうです。(フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』より)
 実は、この水無神社の本当の祭神が両面宿儺ではなかったかと言う人もいます。位山は古代から信仰の対象とされ飛騨は一種の宗教国家として栄えていたそうです。
 位山はちょうど分水嶺にあたり、ここから発した水が日本海側の富山湾と太平洋側の伊勢湾に注いでいます。両面とは、この水を支配する者の意味だったのかもしれません。
 水無は水主(みずぬし)ともとれるし皆主(みなぬし)とも解釈できます。縄文以来この地を中心に太平洋側と日本海側の両方を支配した宗教国家。大和朝廷にとって、日本列島支配のためには絶対叩き潰しておかなければいけない勢力だったのでしょう。そうでなければ、たかが地方で暴れまわっているだけの怪物に大軍勢を派遣するのは大げさすぎます。

 そう考えると、両面宿儺の伝説は深い意味を持ちます。たいへん興味深いです。