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謎の黒海文明説

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 アメリカ、コロンビア大学のウィリアム・ライアンとウォルター・ピットマンという二人の地質学者が面白い説を唱えています。

 今から一万数千年前、氷河期が終わったのですがBC12900年~BC11500年頃にヤンガードリアス期(亜氷期)という寒の戻りがあったそうです。北半球を中心に気候はひどく乾燥し氷河の発達で海退がおこりました。このとき地中海と黒海が切り離され、ボスポラス海峡が地峡になったそうです。黒海自体も、水の流入量が減り淡水化し今より20%ほど小さい湖となりました。この状態は数千年続いたといいます。

 ちょうどこの時期は、気候の変動で狩猟生活が困難になり、人々は定住し農耕生活への移行を進めた時期でもありました。西アジアで世界最古の農耕遺跡が発見されましたが、9000年前だったと記憶しています。

 ところで、黒海周辺に現れた平野部は恰好の農耕地帯になりうるところだったと指摘されます。人々があつまり集落が各地にできたでしょう。文明揺籃期にあたる段階まできていたのかもしれません。

 しかしBC5600年頃、海面が高い地中海の圧力に負け、ボスポラスの堰が突如決壊。1日にナイアガラの瀑布の200倍ともいわれる莫大な海水が黒海に流れ込みます。これによって、黒海の海水面が55メートルも一気に上昇。沿岸部に栄えたであろう文明を瞬く間に飲み込みました。

 かろうじて生き延びた人々は各地に避難、メソポタミア小アジアで文明を開きました。それがシュメールでありヒッタイトであったのではないかと指摘するのです。たいへん興味深い説で、この天変地異の記憶が洪水伝説のルーツの一つではなかったでしょうか。