国民的歴史作家、司馬遼太郎が亡くなってから十年になります。「坂の上の雲」「国盗り物語」など代表作は多くありますが、最も人気のある作品と言えば「竜馬がゆく」でしょう。
この作品で、人生観が変わったという人も多いそうです。(身近にもいますが)
幕末の風雲児、坂本竜馬(龍馬)が浪人の身でありながら薩長同盟を成させ、船中八策で明治維新の方向づけをした偉大な生涯を描いています。私自身ももう何回読んだかわかりません。
名シーンは数ありますが、とくに印象に残っている場面があります。大政奉還が成り、新政府の役人案を竜馬が練っていました。西郷が訪れ、その役人表を見ます。
「坂本さぁ、こっば見っとおはんの名が見えもはんが?」
「わしゃ、出ませんぜ。役人は窮屈ですけの。」
「そっじゃ、お前さぁは何ばしなはる?」
「わしですか。世界の海援隊でもやりますかいの。」
このシーンの竜馬の言葉は痛快です。実際、同席していた陸奥陽之助(宗光)は後に「このとき竜馬は西郷より二枚も三枚も大人物に見えた」と語っています。
竜馬は、自分の歴史上の役割を果たすために生きているのであって、出世が目的ではないと言い切っているのです。一つは土佐から大政奉還を建白したので、後の功を薩長に譲ろうというのもあったでしょう。
竜馬のような人物が幕末に現れたのは奇跡でした。彼がいなければ明治という時代は来なかったかもしれません。もし、まだ「竜馬がゆく」を読んでない方、是非一読を勧めます。絶対損しません!読んだら人生観がかわるかもしれませんよ。