
いかにも未来的な形をした駆逐艦ですが、これもLCS(沿海域戦闘艦)やコンステレーション級フリゲートと同様大失敗した艦型です。
ズムウォルト級はアーレイバーク級ミサイル駆逐艦の後継として2001年から一番艦ズムウォルトの建造が開始され当初は30隻以上の大量建造が計画されていました。ご覧になればわかる通りステルス性を重視した艦型にステルス性重視で砲撃時だけカバーが外れ砲身が出てくる155㎜先進砲システム(AGS)を2基搭載しています。
VLS(垂直発射装置)も、艦の中心線ではなく舷側に配置し、被弾時のダメージコントロールを重視しています。このMk.57VLSは合計80セルもあってかなり強力な戦力になるはずでした。満載排水量14797トンの巨体で駆逐艦というよりは巡洋艦です。というのも当初は巡洋艦として計画されていたからです。
ステルス性という面ではアーレイバーク級の50分の1というRCS(レーダー反射断面積)を持ち、レーダーも当時としては最新鋭のAN/SPY-3多機能フェーズドアレイレーダーを搭載していました。良いことずくめの高性能艦になるはずでしたが、ご覧になったら分かる通りステルス性を重視したばかりに居住性は最悪です。
主機関もアメリカ海軍で最初に統合電気推進(IPS)を採用するなど野心的な設計でした。ところがあまりにも要求を詰めすぎたため建造費が日本円で6992億円まで膨れ上がりました。これではいくら超大国アメリカとは言え30隻も建造できません。破産しますから。結局建造計画は最終的に3隻まで削減されました。
しかも悪いことは続き主砲の155㎜先進砲が使用する誘導弾は有効射程118㎞という長大な射程距離とCEP(半数必中界)50m以内を誇りますが、当初は1発500万円くらいの予定が高性能を追及したためなんと1発9000万円まで膨れ上がります。このため100発で調達打ち切りになり、米海軍はこれに代わる砲弾を選定中だという事です。これは少し古い情報なのでもう選定済みかもしれません。
現代海戦の花形であるVLSにも問題があり、当初はSM-2、SM-3、ESSM(発展型シースパロー)を搭載する予定がシステム開発とコストの問題でESSMのみの搭載となりました。バーク級を超える大きさで個艦防空のESSMだけというのは宝の持ち腐れもよいところで、だったら従来のアーレイバーク級で良いのでは?という話になり現在ではバーク級の最新型フライトⅢの建造が進められています。
対地攻撃用のトマホーク、対潜攻撃用のVLA(垂直発射式アスロック)の搭載も見送られ何とも中途半端な性能の駆逐艦に成り下がってしまいました。いまでは主戦力というより6992億円もする高価な先進技術実験艦みたいな扱いになっています。おぼろげながらの記憶では、確かレールガンの実験にもズムウォルト級が使われていたような気がします。結局レールガンそのものが失敗しましたが。
日本はレールガン開発が成功しつつあるのでこのまま順調に開発してほしいですね♪ズムウォルト級はLCSのインディペンデンス級、フリーダム級とともに米海軍三大失敗作に数え上げられていますが、今回コンステレーション級フリゲートの調達中止で失敗作四天王になりそうです。
とはいえ、アーレイバーク級の最新型フライトⅢも建造費が3878億円まで膨れ上がりズムウォルト級を批判できなくなりました。まあ実用性はバーク級の方が高いので良いのでしょうが。一方、シナの最新鋭ミサイル駆逐艦はわずか548億円程度で造れるそうで、このままでは数の差がどんどん広がりそうではあります。人件費、材料費が安いのでシナの方が有利なのでしょう。
コンステレーション級の記事でも書きましたが、コンステレーション級の代替に日本の新型FFMはどうでしょうか?もともとアメリカ製兵器の搭載を前提に作られているので相性は良いと思いますが。気に入らないならレーダーシステムだけアメリカ製に積み替えればよいだろうと素人目には思えます。
結論として、兵器は奇をてらうよりも堅実性重視の方が良いのでしょう。
追伸:
使い物にならなかった155㎜先進砲システム(AGS)の代わりに多連装ミサイル発射機を装備し極超音速兵器を搭載する計画があるそうですが、改修に2年以上かかるうえに極超音速兵器も今のところ海のものとも山のものとも分からない段階で成功するか失敗するかは大きな賭けなので、そんな兵器を失敗した艦に搭載する意味はあるのかと費用対効果の点でメディアからは猛批判を受けているそうです。