
復原力、あるいは復原性というのは、波や風の力、あるいは旋回時に船が傾いた時元の姿勢に戻れる能力のことを言います。私は復元力と記憶していたんですが調べてみると復原力が正しい用語だそうです。
常識的に考えて、船の上部が重すぎると復原力が低くなるのは理解できると思います。ですから軍艦にしても商船にしても船の上部構造はなるだけ少ない方が良く、韓国の軍艦のように排水量に比べごてごてとこれでもかと装備を搭載すると復原力が低くなり危なくなります。
セウォル号の痛ましい事故は記憶に新しいところです。日本でも大東亜戦争前の友鶴事件など復原力の問題で事故が発生したことがありました。近代の船舶工学だけでなく古代から中世にかけても、復原力は知らなくても感覚的に分かっていたようで、重心をとにかく低く保つために船底にバラストを積んだりしていました。
中世の帆船で特に優れていたのは欧州で、船体はキール(竜骨)に直角に無数のU字型の骨組みを組み合わせ、そこに外板を張っていたのですが、底になるほど広く、船体上部では狭くなっていました。大西洋の荒波を越えるためには経験則的にそうなっていったのでしょうね。
一方、丸木船から発展していた日本の和船やアジア各地の船は底が一番狭く上部に行くにつれ広がっていく構造でした。一応和船も船底にバラストを積んでいたそうですが、構造的にどうしてもトップヘビーになりやすいため横波に弱いという致命的弱点を持っていたように思えます。もちろんあくまで素人考えで船舶工学に詳しい人がいたら否定されるかもしれません。専門知識のある方の反論をお待ちしております。
ということで、和船が嵐に会ったら遭難しやすいというのは復原力という構造的問題もあったのかもしれません。似たような構造の朝鮮船、シナのジャンクも見た限り船底が一番狭いタイプですから、皆復原力的に欧州の帆船には劣っていたのでしょうね。元寇で元軍の軍船が嵐で転覆したのも頷けます。
日本に同情すべき点は、近海での活動がメインで嵐になったら近くの港に逃げ込めば済みますからある程度トップヘビーでも問題なかったのでしょう。ただし、この船で遣隋使、遣唐使、あるいは勘合貿易に行っていた人は命がけだったんでしょうね。実際遣唐使船が遭難した話は聞きますし。
私は一つの事に興味を持つととことん調べないと気が済まないタイプなので船関連話が続きましたが、同時に飽きっぽくもあります。そろそろ飽きてきたのでこれでしばらく打ち止めです。