年末ジャンボを玉名市のショッピングモールに買いに行ったついでに購入した本です。近代戦史を中心に兵站の重要性を書いた本ですが、それほど難解でもなく中学校程度の常識があれば気軽に読めます。実際、私もゲームを遊びながらそのロード時間の合間に読んで2日で読破したくらいです。寝転びながら気軽に読める本だと思います。
軍事や戦史に詳しい方なら兵站の重要性は常識ですがあまり知識が無く最近国際情勢の緊迫化で軍事に興味を持った方にはうってつけかもしれません。ただ苦言がいくつかあります。細かい間違いが多いんです。その一つは、独ソ戦に関する章でロシアが狭軌(レール幅1067㎜)で欧州が標準軌(レール幅1435㎜)だという記述。これは明らかに間違いです。ロシアは広軌(1524㎜)ですから。ちなみに日本は狭軌(1067㎜)ですが、大戦前日本が朝鮮半島に引いた鉄道や満州鉄道は標準軌でした。
今一つはインパール作戦の章。筆者はインパール作戦の補給問題を解決する試案として各師団の4個ある歩兵連隊のうち1個連隊を抽出して臨時の輜重(補給)連隊を編成し工兵連隊と協力して師団の補給を担当させる方が良かったと指摘しています。これも戦史に詳しい方なら成立しない方策だと瞬時に理解されるでしょう。
そもそもインパール作戦に参加した第15軍隷下の歩兵第15師団(祭兵団)、歩兵第31師団(烈兵団)、歩兵第33師団(弓兵団)もすでに3単位師団(3個歩兵連隊基幹)に改編されています。そもそも抽出すべき歩兵連隊が存在しないのです。烈兵団の歩兵団長(3個歩兵連隊を指揮する)宮崎繁三郎閣下を知らないのか?(呆)こんなことは基本中の基本のはずなのに、間違った記述をされるとげんなりします。福山さんは西部方面総監部幕僚長、陸将まで務めた人なのに知らなかったのか、それともうっかりミスなのか、どちらにしろ残念ですね。
鉄道関連の話は編集者も気付きそうなものですけどね。私のように鉄道にあまり詳しくない人でもロシアが広軌だと知っているますよ。まあ初版なので今後増版か重版するときに修正してくれることを願います。
鉄道のレール幅は、ロシアが欧州諸国から侵略されないようにわざと広軌を採用したとも言われますね。実際、ドイツ軍はソ連に侵攻した時、レール幅の違いで苦労したそうです。鉄道は陸上兵站の肝ですから。ドイツは車輪の幅を標準軌と広軌で変えられる特殊列車を準備していました。
ともかく、兵站とは何か?戦争に勝利するうえで兵站がいかに重要かを知るためには読んでおく方が良い本だと思います。特に初心者の方は!