鳳山雑記帳はてなブログ

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ウクライナ軍のクルスク州越境攻撃、逆チタデレ(城塞)作戦みたいになってきたな

 国防とか軍事に興味のない大多数の方は関心がないと思いますが、私は一週間前から始まったウクライナ軍によるロシア領クルスク州への逆侵攻作戦に注目しています。なぜなら膠着したウクライナ戦争の大きな転換点となる可能性を秘めているからです。

 とは言え、情報が錯綜し先日ようやくウクライナのゼレンスキー大統領が越境攻撃を認めただけでほとんどの情報はロシア側からしか出ていないので実態は分かりません。ここで書くこともあくまで私の想像で真実とは程遠いと思いますので、話半分で聞いてください。

 一説ではこの攻撃に投入されたウクライナ軍部隊は少なくとも5個旅団にのぼるそうです。報道では1個旅団2000人として1万人くらいが越境攻撃に参加したと言っていますが、公表されているウクライナ陸軍の編成では1個旅団は5個大隊基幹に補助部隊が付くので、1個大隊を800人とすると少なくとも4000人規模になるはず。500人大隊としても総勢3000人くらいにはなると思うので、1個旅団2000人というのはどうにも腑に落ちません。

 戦争の長期化で完全編制の旅団が無くなってきたのか、情報が間違っているのか不明です。別の報道で越境部隊は2万人規模というのもあるので、これなら納得できます。今回の攻撃に参加しているのは第80独立空中強襲旅団など精鋭部隊が含まれるので単なる威力偵察ではなさそうです。

 最初の報道でウクライナ軍がクルスク州の430㎢を占領したと言われましたが、現在ではその占領地は700㎢以上にも広がり、問題のクルスク原子力発電所に30㎞の地点にまで迫ってきているとも言われます。それに焦ったのかロシア軍はウクライナザポリージャ原発に放火し脅していますね。よほどクルスク原発を占領されるのが怖いみたいです。

 元陸上自衛隊中部方面総監・陸将の山下裕貴(ひろたか)氏によるとクルスク州の地形は平原地帯に丘陵が点在し幹線道路はその谷間を走っているそうです。ですから丘陵地帯に陣取ると守りやすく、攻撃側は苦労すると言われます。第2次大戦の独ソ戦のクルスクの戦いのときは、ソ連側が丘陵地帯に陣取りドイツ軍の猛攻を防いだわけですが、今回攻めるのはロシア側。

 改めて昔のクルスクの戦いの作戦地図を見ると、ドイツ南方軍集団はベルゴロド付近から北上しクルスクを目指していましたが、今回もまさにロシア軍は同じコース、同じ地点からクルスク州の奪還を目指しているみたいですから、歴史の皮肉を感じますね。

 独ソ戦のクルスクの戦いでも、ベルゴロドからの北上はプショール川の線で阻止されています。そしてウクライナ軍はプショール川にすでに達し防衛陣地を構築し始めたという報道もありますから、非常に興味深い展開です。

 WW2のクルスクの戦いは、東側から西に突出部ができそれをドイツ軍が攻撃したわけですが、今回は西のウクライナ領から東のクルスク州に突出部ができたわけで、ロシア軍は逆に攻め込む側。当時と今では戦力の規模が50分の1ほど違いますが、戦場の規模はまさにクルスクの戦いのようになってきました。今回チタデレ(城塞)作戦を発動するのはロシア側。はたしてどうなるのでしょうか?

 侵略者ロシアにとどめを刺すためにも越境攻撃をしたウクライナ軍にはぜひ頑張ってもらいたいと願っています。希望的観測ですがアメリカ大統領選までクルスク州である程度の領土を獲得し停戦交渉を有利に進めてほしいですね。