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ウクライナ戦争 ロシア軍へルソン撤退の意味

ウクライナ軍、州都へ前進 南部ヘルソン、分析相次ぐ


 ロシア軍現地司令官スロヴィキン将軍の進言を受けショイグ国防相はドニエプル河西岸にあるヘルソン州州都ヘルソンからのロシア軍撤退を認めました。ロシア軍の内情は分からないので断言はできませんが、撤退許可は軍政を司る国防相ではなく軍令を司るゲラシモフ参謀総長が出すべきでは?と個人的には思います。このあたり軍事に関して無知な日本メディアの報道がおかしいのかもしれません。

 すでにウクライナ軍は攻勢を強めドニエプル河西岸のロシア軍の包囲を進めていました。HIMARSなどの精密誘導兵器でドニエプル河にかかる橋を破壊し補給線を寸断していたので、軍事的にはヘルソンを放棄しドニエプル河東岸に新たな防衛線を構築するのが合理的でした。しかし、政治的な理由からプーチン大統領はロシア軍のへルソン撤退を許さなかったと言われています。

 一部報道によるとウクライナ軍はヘルソンから10㎞の地点まで進出したと言われますし、ヘルソンの市庁舎にはパルチザンによってウクライナ国旗が掲げられました。ロシア軍の発表では現地のロシア軍部隊は重装備も含めて撤退を完了したそうですが、現実的に難しいと思います。というのも、ドニエプル河に架かる橋は破壊され仮設橋を設けたり船で撤退しているそうですが、ウクライナ軍はそれすらも攻撃しています。重装備は放棄し兵士だけでも撤退できたら良い方、おそらく撤退中のロシア兵の頭上にもウクライナ軍の砲弾は降り注いでいると思います。かなりの損害が出るかもしれません。

 酷い話があって、ロシア軍はヘルソンを放棄するとき市内のあちこちに地雷をまき散らし進駐したウクライナ軍に多大の犠牲を払わせようとしているそうです。ですからウクライナ軍も慎重になりヘルソン突入を躊躇しているとか。どれだけ犠牲を払ってもドニエプル河東岸に撤退できさえすれば新たな防衛線が構築できるので戦線は膠着すると思います。

 軍事的にはこの判断は正しい。しかし政治的打撃は計り知れません。ヘルソンはウクライナ戦争が始まって唯一ロシア軍が占領した州都でした。国際的にはロシア軍敗北のイメージが強く印象付けられます。そしてドニエプル河西岸がウクライナ軍に奪回されるとロシア本土からヘルソン州を通ってクリミア半島に至る補給路がHIMARSの射程圏内に入ります。すでにクリミア大橋が損傷を受けこちらからの補給線はかなり制限されているそうですから、陸路まで妨害されるとクリミア半島は立ち枯れするかもしれません。

 ヘルソン失陥はロシア軍の士気にも大きな影響があると思います。たださえ低い士気が地に落ち各地で降伏が相次ぐかもしれません。おそらくですが、ヘルソン制圧後のウクライナ軍の攻勢軸は東隣のザポリージャ州になると見ています。ドニエプル側の渡河作戦は困難だし、ザポリージャ原発を一刻も早く解放しなければならないからです。メリトポリやマリウポリを奪回できればロシア本土からの陸路の補給線を完全に遮断できますから。

 実は、アメリカの中間選挙を秘かに心配していました。もし民主党が大敗するとウクライナへの軍事援助が減る可能性もあると思ったからです。今のところそこまでの大敗はなさそうなので一安心です。侵略者ロシアを叩き潰すことは、ロシアと結託している悪の枢軸のシナの弱体化にもつながります。台湾有事が秒読みの今シナの有利になることは絶対に避けなければなりません。私は米民主党もバイデン大統領も好きではありませんし、どちらかというと共和党支持ですが、今回だけは日本の国防のためにも民主党の大敗は避けたかったのが本音です。

 このように国際情勢は大局的に見なければいけません。一時の感情で動くべきではないと思います。今年中にヘルソンをウクライナ軍が奪回し、ザポリージャ州でも攻勢を強めれば、間接的には日本の利益にもなると考えます。ヘルソン失陥がロシア軍敗北につながると見ていたプーチンの判断は結果的には正しかったのでしょう。ただ軍事的合理性は欠いていたので結局は撤退せざるを得なかったのだと思います。

 皆さんはロシア軍へルソン撤退のニュースとその後の展開、日本への影響、どのような感想を持たれましたか?