
「恐るべき剣の腕をもつ天涯孤独の浪人、伏見剣吾。傭兵としてわざと滅ぶ陣営に加担し、虚無の日々をおくっていた。平将門の血を引くという関東の小大名小須賀家に雇われた事から運命が動きだす。
戦の原因になった絶世の美女「鶴姫」を、落城する城から護衛して逃がす役目を受けた剣吾。その清廉な心根を見た鶴姫は、いつしか剣吾に恋するようになる。
しかし、同じ小須賀家に雇われ、落城の際に略奪を狙っていた、飢狼のような浪人たちがこれを見逃すはずはなかった。かっての仲間たちと戦う羽目になった剣吾だが、いつしか浪人団のリーダー我孫子源八郎と奇妙な友情に結ばれる。源八郎は、「お前が鶴姫を妻にするなら見逃してやろう」と申し出る。
このとき、自分も姫を愛しているのだと気付く剣吾であった。
一緒に戦っているうちに、源八郎も剣吾を好きになっていたのだ。ところがそこに現れる妖剣の使い手、混血児ドブロウ天平太。決闘、乱戦、裏切り、野望が渦巻く乱世で二人の恋は成就するのか?」
とにかく、はらはらドキドキしっぱなしで休む暇もありません。眠狂四郎がちょっと暗い話なので、こちらのほうがスカッとします。
とにかく豪快な我孫子源八郎、意外と義理堅いドブロウ天平太、ライバルである彼らがまた魅力的なんです。どちらも、一度は剣吾と戦いながら、その魅力のために最後は協力するようになるのですから。
健吾は、死ぬために生きていましたが、鶴姫と知り合ってから生きるために戦うようになります。
私が特に好きなシーンは、ラストの剣吾たちが伊勢の山中に安住の地を見つけた後、伊勢・伊賀の国境にある山城を畠山入道から騙し取ろうとした源八郎と天平太が、逆に騙されて追手に追われるところです。
深手を負って馬で逃げてきた二人を見つけた剣吾が、友情からこれを逃がし、一人追手に立ち向かうのですが、今までのいきさつもあり、かっこ良いんです。追手をすべて倒した剣吾が二人の下にいくと、すでに天平太は息絶えていました。源八郎は強がりをいい、健吾から鶴姫を妻にしたと聞くと安心したかのように微笑します。そして「自分は大丈夫だから先に行ってくれ」と剣吾を帰し、後姿を見つめながら(幸せになれよ…)とつぶやいて死にます。とても良いシーンで、読み返すたびにジーンときます。
時代小説が好きな方なら、はまる事間違いなしです。古本屋でみつけたら即買いです。それにしても柴錬はイイ!!!